しょうゆはどこからきたのでしょうか?
醤油のルーツは、その名が示す通り古代中国に伝わる「醤(ジャン)」であると言われています。これが「醤(ひしお)」としていつ頃日本に伝わったかは明らかではありませんが、大宝律令によると、宮内省の大善職で醤油に似た「醤(ひしお)」が造られていたとされています。
鎌倉時代に入り、信州の禅僧覚心というお坊さんが、中国から持ち帰った味噌の製造過程で、桶の底にたまった液体が、今のたまり醤油に近いものであったと言われています。
室町時代になると、ほぼ現在の醤油に近いものが造られるようになりました。「醤油」という文字が誕生したのもこの頃で、初めて文献に登場するのは安土桃山時代の日常用語辞典『易林本節用集』だとされています。
室町時代の末頃から醤油の醸造が盛んになり、江戸時代には人々の嗜好に合わせた「濃口醤油」が広まりました。そば、天ぷら、蒲焼きなどの江戸料理にはどれも醤油なしには生まれなかった味わいです。
明治時代、海外との交流が始まると、ソースやケチャップなど西洋風の調味料が伝わり、日本国内でも作られるようになりました。しかし醤油の地位は揺らぐことなく、第一次世界大戦後に訪れた好景気で、生産量も飛躍的に拡大し、一般家庭への普及も一気に進みました。
昭和に入り、日華事変の勃発で原料の入手が困難になると、醤油は統制物資となり、配給規制を受けるようになりました。第二次世界大戦が終わり、配給公団が廃止され、価格統制も撤廃、醤油業者が再び品質向上を目指せる自由競争の時代がやってきました。それから半世紀が過ぎた今、均質で優れた醤油が大量に生産され、日本国内はもとより、世界数十カ国に向けて輸出されています。
日本の風土と文化に育まれた醤油は、世界の調味料として、その裾野を広げ続けています。
(醤油これまでとこれから P15/財団法人日本醤油技術センター 抜粋)